外国人観光客が民泊を選ぶ理由

　外国人観光客がホテルや、旅館、カプセルホテル、ゲストハウスなど数ある宿泊施設のなかで民泊を選ぶ理由は大きく以下の６つが挙げられます。

宿泊費の安さ
大人数で泊まりたい
長期滞在したい
他の宿泊施設が少ないエリアだった
文化の体験として
予約サイトの使いやすさ

順に説明を加えていきます！

外国人観光客が民泊を選ぶ理由：宿泊費の安さ

　外国人のゲストの方に「なぜ、民泊で泊まることを選んだの」と理由を聞くと、一番多い答えが「安いから。」です。

　私の民泊では一番安い部屋で１人あたり1泊4500円、高いところで１人あたり１泊6000円で提供しています。自分が旅をするときはバックパック1つで自由に動くきまわるのが好きなので、宿は最低限の設備でよくって格安ゲストハウスで1泊3500円ぐらいのところで予約をとることが多いです。

　そのような自分自身の基準で考えると、私の民泊の価格設定は高くはないもののそんなに安くもないように感じるのですが、外国人観光客の方にとっては格安なようです。

　外国人の方々からすると、日本の物価そのものが自分の国と比較したらかなり安いので、宿泊費6000円も格安に感じるようです。

　以前、宿泊してくれたオーストラリアからの旅行客は6000円で提供している部屋を見て「オーストラリアだったら同じような広さの部屋だと１泊３万円はするよ。」と教えてもらってめちゃくちゃビックリしました。

　「この部屋で３万円で貸し出せたら、収入もかなり上がるな〜」なんて妄想シュミレーションもしてしまいました（笑）

　日本の物価の安さに加えて、「ホテルや旅館の値上がり」も民泊が安く感じる要因です。私は大阪府高槻市で民泊をおこなっているのですが、先月の１１月は京都の紅葉シーズンで京都に外国人観光客が殺到して、ホテルが値上げ、かつ満室のところが多くなかなか予約が取られないという事態でした。

　そのため、京都から比較的アクセスの良い高槻市にある私の物件でも京都観光が目的のゲストさんが利用してくれました。紅葉のシーズンに限らず、インバウンドの需要が回復した今、ホテルも値上げをしていっているようです。

外国人観光客が民泊を選ぶ理由：大人数で泊まりたい

　「民泊は安く泊まれるから魅力的だよね。」という価格重視の声が多いのですが、安いだけならカプセルホテルやゲストハウスも安く泊まれます。

　カプセルホテルやゲストハウスより民泊が選ばれる理由としては「大人数でみんなで泊まれる。」「リビングで仲間内でくつろぐことができる。」という点にあるようです。

　カプセルホテルだと、１人旅や、２，３人での旅行なら宿泊先候補にあがりますが、それ以上の人数になると、コミュニケーションなどの面で不便もあると思います。ゲストハウスも多くて５、６人ぐらいではないでしょうか。

　その点、民泊であれば一軒家１棟貸しの宿もあり、そのようなところでは１０人以上での宿泊も可能です。一軒家１棟貸しの宿であれば、リビングなどがあってプライベート空間で仲間内でゆったり過ごせるのは旅行の思い出の一部になりますよね。

　私の物件では、最大８名まで宿泊することができます。普段は２名様を２組などで予約をとっているのですが、貸し切りで予約することも可能にしていて、ときどき家族親戚で貸し切りで利用していただくことがあります。

　なので、外国人観光客をターゲットに民泊を始める場合は、家族や親戚など大人数でみんなで泊まりたいというニーズを満たせる物件でやってみるのも１つのコンセプトになると思います。

外国人観光客が民泊を選ぶ理由：長期滞在したい

　次に挙げられる理由は、先述した「安いから」に繋がるのですが、「長期滞在が目的」の外国人観光客からも民泊は人気があります。シンプルに、「安いから連泊しやすい」というものです。

　日本人観光客にはあまりいませんが、外国人観光客の中には２週間や１ヶ月など長期滞在を希望する方々がいます。私も、以前「仕事を辞めて転職する前に半年間日本をゆっくり旅をするんだ」というゲストさんにお会いしました。羨ましいな〜と思いながら、話を聞いていると、転職の前に、長期の旅行にでることは海外では割とあるようです。

　そんな長期旅行の旅の拠点として、安く連泊できる宿というのは魅力的。特に、Airbnbなどの宿泊予約サイトでは、長期滞在であれば割引価格を設定している宿も結構あります。

外国人観光客が民泊を選ぶ理由：他の宿泊施設が少ないエリアだった

　そもそも比較されるホテルや旅館、ゲストハウスが周辺になく、民泊しかなかったというパターンもあります。周辺に宿泊施設がないということは「需要がない」ということでもあるので、安易にそのようなエリアで物件を借りて民泊を始めることは危険なのですが、持ち家で「空き部屋を活用したい。」や「お小遣い程度の副収入として予約が入ればラッキー。」ぐらいの感覚であれば、そのようなエリアで民泊をすることもできます。

　近くに大学など学校がある場合は、海外や地方からその大学を受験するために訪れた方が宿泊されるというパターンもあります。そのような場合にも、周辺にホテルなど他の宿泊施設がない場合は重宝されます。

　また、外国人観光客のなかには、かなりニッチな旅をしているパターンもあります。歴史好きというよりも歴史オタクといえる次元の外国人観光客が、日本人でも地元の人じゃなければなかなか訪れないようないお寺や石碑を巡っていて、そのような人が観光客にはニーズがないような立地にある民泊にもかかわらず宿泊してくれたという話も聞いたことがあります。

　「そもそも比較されるホテルや旅館、ゲストハウスが周辺になく、民泊しかなかった」というパターンは特殊なケースではありますが、ライバルがいない分、コアなニーズをつかめたら強いなと感じます。

外国人観光客が民泊を選ぶ理由：文化の体験として

　ホテルや旅館など、非日常を味わうのも旅行ならではの楽しみですよね。私も温泉付きの旅館にいってゆっくりしたいな〜とよく考えます。日本人だと国内旅行では非日常を求めて、ホテルや旅館を選ぶことが多いかと思いますが、外国人観光客からすれば、日本で滞在すること自体が非日常な経験なんですよね。かつ、ホテルや旅館での統一されたおもてなしではなく、よりローカルな体験を求める人もいます。

　私も海外を旅するときは、ホテルよりも、ゲストハウスや民泊などより現地での生活に近い体験をする方に価値を感じます。ホテルは各々の特徴はありますが、どの国でも同じようなシステムで同じようなサービスが提供されています。

　いい点としては、どのホテルもシステムやサービスに大差がない分、安心感が抜群です。でも、逆の捉え方をすれば、「平凡で面白くない。」と感じる人もいると思います。

　私は後者のタイプです。異国に来たのならば、「その国のことをもっと知りたい！体験したい‼」と思うんですよね。アフリカのルワンダという国を旅したときは村でホームステイをしました。現地の人が住む家に一緒に住ませてもらって、ご飯も一緒に食べた経験はどんなに高級なホテルでも得られない貴重で価値のあるものでした。

　このように、日本を訪れた外国人観光客にとっても、「日本人が普段暮らすような家に泊まって、日本人とコミュニケーションをとれる」ということが旅行の中の1つのアクティビティとなります。

　そのような目的をもって泊まりに来てくれるゲストさんにいい体験をしてもらえるように、民泊のホストは「ホテルや旅館ではできないような個人だからできる温かいおもてなし」を提供していきたいですね。

外国人観光客が民泊を選ぶ理由：予約サイトの使いやすさ

　他に外国人観光客から宿泊先として民泊を選んでもらえる理由として「予約サイトの使いやすさ」があります。これは予約サイトにただただ感謝ですね。

　実際、宿泊してくださったゲストから「旅行の宿は、基本的にいつもAirbnbから探すんだ。」という声を何回もきいています。その度に「Airbnb、ありがとう。」って大手予約サイトの集客力に感謝しています。

　私はAirbnbにしか今のところ掲載していないので、他の予約サイトについてはあまり情報をもっていないのですが、実際Airbnbの予約サイトはゲストにとってもホストにとっても使いやすいです。

　ゲストにとっては、宿泊したいエリアと日付と人数を入力すれば簡単に宿泊先を探すことができます。また、レビューも今までのゲストからのリアルな声を確認してから予約ができるので安心感があります。

　使いやすさから、「旅行の宿は、基本的にいつもAirbnbから探すんだ。」というゲストの声には、私も「使いやすいもんね、Airbnbがあればもう十分だよね。」と納得します。このゲストのように「宿を探そう。」となったときに「Airbnbから探そう」となる人はある程度いるんじゃないかなと思います。

外国人観光客が民泊を選ぶ理由【まとめ】

　今回は、外国人観光客が民泊を選ぶ理由について、ホテルや旅館など他の宿泊施設を比較しながらまとめてみました。「安さ」「長期滞在が可能」「大人数での利用が可能」「ホテルが少ないエリア」「ローカルな体験を求めて」「予約サイトの使い勝手の良さ」などが民泊ならではの良さが選ばれる理由として挙げられます。

　大きくまとめると「ホテルや旅館では提供できないけど民泊だからこそできること」が民泊が選ばれるポイントです。これからもゲストの方に「なぜ、うちの民泊を選んでくれたのか。」をヒアリングしながら「民泊だからできること」とは一体何なのかを考えていこうと思います‼